2024年に劇場版も公開された『傲慢と善良』。
- わたしの趣味に合っているかな?
- 興味があるけど買って後悔しないかな?
- 読み始める前に少し詳細を知りたい。
そんなギモンに答えるため、月に10冊以上小説を読むわたしが『傲慢と善良』の書評をまとめます。

ネタバレしない範囲でまとめるので安心してください。
この小説をひとことで表すと、
10代・20代と同じ価値観のまま大人になって戸惑うすべての大人に贈りたい、恋愛とは?幸福とは?をド真剣に考えさせられる一冊。
読んでみようかな…なんて悩んでいる人はぜひご参考に!
要するにどんなお話?

特徴を一言でいえば”レベル違いの共感”
人間の本質と矛盾にここまで迫った小説には初めて出会いました。
「この人、私のことを私より詳しいのかな!?」なんて驚くシーンは多いはず!
シンプルなミステリー小説だと思ってたら途中で180度転換します!

衝撃の展開にご注意を!
あらすじ(ネタバレなし)

結婚の直前に突如として行方不明になった坂庭真実。
婚約者の西澤架はその足跡を追って真実の故郷・群馬を周るうちに、以前は気にも留めなかった彼女の内面を覗いていく。
真実の捜索を通じて架が垣間見たのは、1人の人間のなかに相反するはずの”傲慢さ”と”善良さ”が同居しうる矛盾。
- なぜ彼女は姿を消してしまったのか?
- 一体どこまでが本当で、どこまでが思い込み??
ラストシーンまで深まり続ける謎が意外な場所で明らかになります!
厳選3ポイント!『傲慢と善良』はここがいい!

ここからは、私(とろすけ)が『傲慢と善良』を読んで感じたこの本はここがいい!ポイントを「3選」紹介していきます!
①狭い世界の「あるある」に共感必須!
『傲慢と善良』のレビューでよく語られるのが、読者にもたらす”圧倒的な共感”
その1つが地方都市に独特の価値観です。
田舎でも都会でもない”完結した世界”としての地方都市。
辻村深月さんは、そこに根付く独特の常識を描くのが本当に上手だと思います。
群馬県で暮らしてきた真実や家族が持つ”ごく当たり前の価値観”が、東京出身の架にとっていかに特異なものであるか…?
私も地方出身ですが、地方のいいところも悪いところも「そうそう!それ思ってた!」と共感しやすい内容でした。
②人の”本性”をさらけ出す残酷なまでの思考の深さ
圧倒的共感の2つ目。
辻村深月さんは架や真実の視点をとおして、成熟した30代の男女が抱える”迷い”や”戸惑い”を私たちにグサグサと突きつけてきます。
”善良でありたいけど、常に傲慢でわがまま”
わたしも彼らの思考をたどりながら、自分の内面に潜む”矛盾”の正体をここまで深く考えたことがあっただろうか?と衝撃を受けました。
③最後まで分からない混沌、混沌からの”どんでん返し”
辻村深月流どんでん返し、ここにも健在!
初めてこの本を読んだとき、460ページまで読み進めたところで、残りが30ページくらいしかないのに気づきました。
- これって本当に終わるの?
- 実は下巻があるんじゃ…
なんて不安になりながらページをめくりましたが、ちゃんと物語は完結します。

最後の30ページで物語が一気に展開しますよ!
まさしく怒涛のように。
とろすけの好きなシーンはここ(若干のネタバレを含みます)

前半部分のラストシーンは衝撃的でした。
ある違和感をもとに改めて真実のアパートに入った架が気づいてしまった事実…。
架に突きつけられた事実に、わたしも同じように背筋が凍る思いがしました。
これまでの前提を丸ごとひっくり返しす強烈な展開は圧巻です。
少しづつ失踪事件の真相に近づいていると思っていたのに、実はスタートラインにすら立っていなかったような衝撃。
続きが気にはなる…
けれどその”衝撃レベル”にしばらく読み進められる自信をなくしたくらいです。
「ちょっと待って!い、いったん落ち着かせて…」みたいな戦慄を感じてください!
読後評:とろすけの感想
私にとってほぼ10年ぶりくらいに読む辻村深月さんの小説でしたが、さらに奥深さがパワーアップしているようで驚きました。
それまでに私が読んだ作品といえば
『傲慢と善良』がそれらの作品と大きく違うのは主人公の年齢ですね。

成人の男女が主人公になった、これまでと明らかにテイストの違う人間描写は”深い”の一言でした。
善良でありたいけど傲慢である…
まさしく人間の本性に迫る迫真の小説だったと思います。
読み手の年代によって印象や気づきは変わるのかなと思いますので、すべての世代に読んでもらってその気づきを教えてほしい一冊でした。
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