(感想)「ライオンのおやつ」今を生きることの尊さを優しく伝えてくれる癒しの物語

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2020年本屋大賞2位『ライオンのおやつ』

  • わたしの趣味に合っているかな?
  • 興味があるけど買って後悔しないかな?
  • 読み始める前に少し詳細を知りたい!

そんな疑問に答えるため、サラリーマン読書家のとろすけが書評にまとめてみました。

とろすけ
とろすけ

ネタバレしない範囲で描いていくので安心してください。

この本をひとことで表すと…
それぞれが迎える最期に涙が止まらない!今を生きる尊さを優しく伝えてくれる物語

読んでみようかな…なんて悩んでいる人はぜひご参考に!

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要するにどんなお話?

「何回泣かせるんだ…」っていうくらい泣かせてくる作品です。

「自分は恵まれてない!何も持っていない!」なんてイライラしてしまうすべての人に気づいてほしい、”今”を大切にする意味がわかる物語…。

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あらすじ(ネタバレなし)

物語の主人公は若くしてステージⅣの癌を患った海野雫。

余命宣告を受けた彼女は治療を諦め、東京のアパートも引き払って瀬戸内海の”レモン島”にあるホスピスへ向かう。

「ライオンの家」と呼ばれるその施設は、雫と同じような境遇の人々が、人生の最後の時間を過ごすために集まる場所であった。

「ライオンの家」では毎週日曜日、入居者にとって思い出のお菓子が振る舞われるおやつの時間があったが、”最期”を意識させるおやつのリクエストを、雫はなかなか書けずにいた。

それでも、先に旅立った者たちに背中を押され雫はついにリクエストを書く。

そして誰もが迎える死の瞬間。
「ライオンの家」の滞在をとおして入居者を取り巻く恐怖や怒り、諦めが暖かな優しさの感情に変わっていくとき、ささやかな奇跡が起こる。

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厳選3ポイント!『ライオンのおやつ』はここがいい!

ここからは、私が『ライオンのおやつ』を読んで感じたこの本はここがいい!ポイントを「3選」紹介していきます!

①小川糸さんの優しい文書で描かれる瀬戸内の穏やかな景色が癒し。

小川糸さんの物語では、亡くなっていく人もその周りの環境も美しく描写されているところが好きです。

物語の季節的には「冬」のはずなのに、瀬戸内の風や海や木々の描写はどれもみずみずしく、明るくて暖かい「夏」のような光景を連想させるから不思議ですね。

これは私の印象ですが、瀬戸内を舞台にした小説に”療養”や”安静”に関する場所が描かれることって多いと思います。

瀬戸内海の特徴といえば、温暖な気候であったり、穏やかな海であったり、喧騒とは無縁な離島であったり・・・。

「死ぬときはこんな場所が良いな。」の理想形が瀬戸内の島々なのかもしれませんね。

②食べると生きる。2つの動詞を結びつける暖かいメッセージ。

食べることは生きること。

「ライオンの家」での食事シーンはそんな当たり前のことを読者に思い出させてくれます。

食べられることが私たちにとってどれだけ素敵なことか…⁉

そして、この本を読んだとき、食べ物そのものも大切ですが、それに出会ったときの感情も今の私を作っていると気づきました。

私にも思い出のおやつがあります。
味が良かったことももちろんですが、その時に一緒に食べてくれた人との穏やかな記憶の方が私にとっての宝物ですね。

③世界のすべてが愛おしく思えるラストシーン

ラストシーンでは涙が止まりませんでした…。

雫が最期に出会えた、苦しみも怒りも乗り越えて「私の分まで生きてほしい」と思える人。

投げやりな気持ちで「こんな自分のためにお金を使うよりも、どこかに寄付した方がいいかな」なんて考えた時とは明らかに意味が違う、自分が犠牲になっても誰かに生きてほしいと願う気持ちに感動です。

何気ない日常がとんでもなくありがたく感じました。

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とろすけの好きなシーンはここ(少しだけネタバレを含みます)

ラストシーンを挙げるしかないでしょう。

死にゆく雫に生きている私たちが救われるシーンです。

ずっと一人だと思っていた、そして旅立つときも一人で行こうとしている彼女にも、最期に会いに来てくれた人がたくさんいました。現実の世界にも、向こうの世界にも。

雫が最期に呟いた一言がとても印象的です。

孤独なまま恐怖のうちに死にゆくしかないと思い込んでいた彼女が、最後は満ち足りた気持ちで旅立ったことを示唆するひとこと(どんな文脈で何と言ったか、はぜひ読んで確かめてほしい!)

とろすけ
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読み手の私たちも救われた気持ちになります。

心の底から「よかったね、頑張ったね」と言える瞬間です。

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読後評:とろすけの感想

全体をとおしてのキーワードは「人は亡くなる瞬間まで変われるチャンスがある」ということ。

人間というのは意外と影響されやすい生き物のようで、過ごしている場所の周りの環境が穏やかだと、そこで生活している私たちも穏やかになるそうです。

死という重たいテーマを扱いながら読後感が極めて静謐で、安心感さえ感じる理由は、この物語で描かれる「環境」が読者の私たちにも影響しているからでしょうか?

それぞれにとって一番いい「人生の終わり方」とは何でしょうね?

  • 幸せな最後を迎えるために今を生きることがどれほど尊いことか?
  • 自分の周りに誰かがいてくれることがこんなに有り難いなんて…

そんな感情を持てるだけでも、素敵な読書体験ができたと思います。

『ライオンのおやつ』おすすめです!

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とろすけ

月に10冊以上の小説を読む読書家サラリーマン。

本業は製造業のITエンジニア。

好きな作家は辻村深月と恩田陸。

おすすめは
『かがみの孤城』
『琥珀の夏』
『蜜蜂と遠雷』
『君の膵臓をたべたい』など。

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