2007年本屋大賞で2位に輝いた『夜は短し歩けよ乙女』
- わたしの趣味に合っているかな?
- 興味があるけど買って後悔しないかな?
- 読み始める前に詳細を知りたい。
そんな疑問に答えるため、月に10冊以上小説を読む私(とろすけ)が『夜は短し歩けよ乙女』の書評をまとめます。

ネタバレしない範囲で紹介していくので安心してください。
この小説をひとことで表すと、
小説にクスっと笑いが欲しい人におすすめな男の妄想ファンタジー。
読んでみようかな…なんて悩んでいる人はぜひご参考に!
もくじ
要するにどんなお話?

怪物が渦巻く古都へようこそ!
京都を舞台にしたファンタジー恋愛小説。
天然(?)で愉快な「黒髪の乙女」が何ともかわいらしい。
ぜひあなたの身近にいる”誰か”をイメージしながら読んでみてください!
あらすじ(ネタバレなし)

物語の舞台は京都。冴えない大学院生の「私」は、サークルの後輩「黒髪の乙女」にほのかな恋心を抱きつつも、いつも遠くから眺めているだけだった。
私は何とか彼女の気を引こうと「ナカメ(=ナるべくカノジョのメに留まる)作戦」を決行するも、天然(?)な乙女はいつも「奇遇ですねぇ」と気にも留めないww
春の歓楽街で、夏の古本市で、秋の学園祭で、そして冬の下鴨神社で、私と乙女の周りに集う不思議な人たちと、夢と現実が入り乱れる奇怪な現象の数々…。
私は無事に彼女との”デート”を勝ち取れるのか!?ラストに起こる小さなキセキに注目です!
厳選3ポイント!『夜は短し歩けよ乙女』はここがいい!

ここからは、私(とろすけ)が『夜は短し歩けよ乙女』を読んで感じたこの本はここがいい!ポイントを「3選」紹介していきます!
①ド天然な「黒髪の乙女」がとにかく可愛い!
天然(?)で予測不能な「黒髪の乙女」。
その行動や思考は男性だけでなく女性もキュンとしてしまう可愛らしさがいっぱいです。
作中にあえて「黒髪の乙女」の名前が書かれていないのも、きっと読者が身近な”誰か”を乙女に重ねあわせてイメージを膨らませるため!?
②ローカルネタが満載!京都の名所に”あるある”が止まらない!
先斗町、祇園、糺の森、そして鴨川…。
作中のところどころに登場する京都の地名が「私」と「黒髪の乙女」の日常にリアリティを与えます。
京都に住んでいるわたしとしては、シーン1つ1つの情景がとてもイメージしやすかったです(断言こそされていませんが第三章の舞台は京都大学ですかね?)
学生にしかできないちょっぴり”ぶっ飛んだ”文化祭、楽しく読ませていただきました。
③森見マジック?妄想と現実のコンビネーションがGOOD!
空中に浮かんでみたり、鍋からカエルやヘビが出てきたりと「いやいや、ありえないでしょ!」と思わず突っ込みたくなるようなシチュエーションも、森見登美彦さんの独特な文体で書かれると「なんだかありそう…」と受け入れてしまうのが不思議ですね。
それにしても男のおバカな妄想が現実になるって、誰でも憧れてしまいますね!
わたしの好きなシーンはここ(ネタバレなし)

第1章の最後のシーン:乙女と李白さんの飲み比べ対決です!
向かい合った2人の、お酒を通じた心と心がつながる会話…。私も「1度でいいからそんな経験をしてみたい!」と感じた場面です。
タイトルにもなった「夜は短し歩けよ乙女」を李白さんがどんな思いでその言葉を発したか、ぜひあなたなりの答えを探しながら読んでみてください。
読後評:とろすけの感想
『夜は短し歩けよ乙女』は2007年の本屋大賞で2位に輝いた名作です。
2006年に発売された小説なので、2024年時点でもう16年経ちますが、”劣化”をまったく感じさせないのがスゴイですね。
作者の森見登美彦さんの文体はあえて”古文テイスト”。
内容は普通のことなのに、まるで歌舞伎役者の口上みたいな独特な表現を使ってきます。

古いのになんだか新しい、慣れるとクセになりますよ!
「おバカな男が可憐なマドンナに憧れてあれこれ右往左往する」ってのは、どの時代も同じくらいコミカルですね(笑)
物語を読み進めながら思わずニヤニヤ。
文庫本では、巻末「解説に代えて」で羽海野チカさんが描いたイラストもとても素敵です。
ぜひ本編といっしょにお楽しみください。
コメント