現代のヒットメーカー・辻村深月のデビュー作『冷たい校舎の時は止まる』。
- わたしの趣味に合っているかな?
- 興味があるけど買って後悔しないかな?
- 読み始める前に少し詳細を知りたい。
そんな疑問に答えるため、月に10冊以上小説を読むわたしが『冷たい校舎の時は止まる』の書評をまとめました。

ネタバレしない範囲でまとめるので安心してください。
この小説をひとことで表すと…
10代の時に出会えてよかった!
ページをめくる手が止まらない、ドキドキハラハラな新感覚ミステリー!
読んでみようかな…なんて悩んでいる人はぜひご参考に!
要するにどんなお話?

「次はいったい何が起こるの??」
怖いもの見たさ的にページがどんどん進む一冊。
タイプの異なる8人の高校生を丁寧に描き「悩んでいるのは君だけじゃないよ」と穏やかに慰めてくれる物語です。

混沌をめいっぱい広げて最後にひっくり返す辻村ワールドは圧巻ですよ!
あらすじ(ネタバレなし)

大学受験を目前に控えた大雪の日、いつも通り登校した8人の高校生。
ところが始業時刻を過ぎても広い校舎には自分たちしか登校しておらず、入り口の扉は凍り付いたように外に出られなくなっていた…。
そして彼らは気づく。
数か月前に飛び降り自殺したクラスメートの顔も名前も思い出せないことに…
いったい何が起きているのか?
戸惑っているうちに8人のうち1人が突如失踪してしまう。
そして時計の針がある時刻を告げるたびに1人、また1人と…
いったい誰が?何のために?
これまで何度も読者の予想をひっくり返してきた”辻村深月ワールド”のデビュー作です!
厳選3ポイント!『冷たい校舎の時はとまる』はここがいい!

ここからは、わたしが『冷たい校舎の時は止まる』を読んで感じたこの本はここがいい!ポイントを「3つ」紹介していきます!
①8人の高校生たちの「陰」と「陽」の描写が秀逸!
冬の校舎に閉じ込められた8人全員が持っている表の顔とウラの顔。
それぞれが心の中で静かに隠している「人に見せていない自分」が、辻村深月さんの手によって一人ずつ丁寧に描写されています。
きっと、読者のあなたも自分に重なる部分があるはず…。

全員が「夜」にまつわるエピソードを持つのも深いです!
②早く続きが知りたい!でもちょっぴり怖い…的な圧倒的ハラハラ感!
1人1人が順番に消えていく”恐怖”は背筋が凍り付きそうなほどなのに、なぜかページをめくる手が止められない…。
そんな”ハラハラ感”がたまらない一冊です。
わたしの大学時代、クラスメートがこの本を電車で読んでいたら、降りる駅にまったく気づかず授業に大遅刻してきました(笑)
それくらい、読みだしたら止まらない名作ってことですね!
③最後に明らかになる謎…辻村ワールド全開の展開!
辻村深月さんの特徴と言えば登場人物の深い心情描写と、最後に待っている”大どんでん返し”
デビュー20年、これまで読者を何度も驚かせてきた辻村深月流”どんでん返し”の原点がここにあります。
「え、そうだったの!?」的な結末は、他のどのジャンルにもない“新しい驚き”をもたらしてくれますよ。

控えめに言って”期待以上”です!
とろすけの好きなシーンはここ(ネタバレなし)

私のお気に入りは、第14章『HERO』から菅原の回想シーン。
8人のなかでも一番の”おチャラケ”キャラな菅原が抱える悲しい過去と決意の物語が良い!
誰もいなくなった「ひまわり」で金色のピアスを片手に、七夕の短冊に向かう菅原…
表面上のチャラさとは違う、強い決意が現れるシーンはぜひ読んでほしいですね!
チャラいと思ってたヤンキーが実はめちゃくちゃ複雑な過去を抱えた”良い奴”だった的な展開。

みんな菅原のこと好きになりますよ。
読後評:とろすけの感想
17歳のときに初めて出会って以来、長い間私にとってNo.1ミステリーであり続けている作品です。
この本をきっかけに辻村深月にハマる人も多いと思います。
ぜひ8人の登場人物のうち、「自分は誰に近いだろうか?」を考えながら読んでみてください(必ず1人はいるはず!)
私の場合は充くんでしたが、彼の抱える”明るい絶望”という葛藤ががずしっと胸に刺さって取れなかったのをよく覚えています。
自分でも気が付いていない”モヤモヤ感(どうして自分はこんなキャラなんだろう的な疑問)”が充くんの思考を通して言語化されたわけです。
そこでようやく「それも自分の個性なんだ。」として向き合うことができたと思います。
『冷たい校舎の時は止まる』おすすめです!
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