スイーツ系インスタグラマーの顔も持つ野村美月が紡ぐ『ものがたり洋菓子店 月と私』
- わたしの趣味に合っているかな?
- 興味があるけど買って後悔しないかな?
- 読み始める前に少し詳細を知りたい!
そんな疑問に応えるため、サラリーマン読書家のわたしが書評にまとめてみました。

ネタバレしない範囲でまとめているので安心してください。
この本をひとことで表すと、
忙しい日々に癒しを求めるすべての人へ、心まで甘くなるスイーツの物語。
読んでみようかな…なんて悩んでいる人はぜひご参考に!
要するにどんなお話?

自分に自信が持てない…そんな疲れた心に甘すぎる癒しを!
腕利きなのに引っ込み思案なシェフと、イケメンストーリーテラーが紡ぎだす優しい物語。

ベタで王道だけど心がほっこりする短編集です。
あらすじ(ネタバレなし)

東京の小さな会社に勤める派遣社員の七子。
これといった特技もなく、恋人ともコミュニケーション不良な日常を過ごすなかで、自身のことを徹底的に「無価値」だと思い込んでいた。
そんなとき、七子はふと思いついたように家の近くにあった洋菓子店を訪れる―。
そこは彼女が以前訪れたときとはまるで別の店に変貌していた。
- 宝石のようなケーキが並ぶショーケース
- 見違えるほど美しくなったシェフ
- そして店員兼ストーリーテラーの語部
”ストーリーテラーってなに…?”
半信半疑で語部のストーリー聞きながらウィークエンド・シトロンを食べると、縮こまっていた七子の背中が誰かにそっと押してもらえたように気持ちが和らぐ。
ギラギラと輝く「太陽」もいいけれど、一人ぼっちの夜にそっと背中を押してくれる「月」のようなスイーツが織りなす甘い短編集。

きっと穏やかな光に包まれたような優しい気持ちになれますよ。
厳選3ポイント!『ものがたり洋菓子店 月と私』はここがいい!

ここからは、私が『ものがたり洋菓子店 月と私』を読んで感じたこの本はここがいい!ポイントを「3選」紹介していきます!
①シンプルだけど王道・シンデレラ的展開がグッド!
内気で「負」のオーラが満載だったシェフの糖花が、語部との出会いで外見も心も美しく変わる…
まるでシンデレラがお姫様に変身したような王道展開です。
ベタだけどそれがいい!
やっぱり誰しもそんな魔法にかかってみたいよね!
②ひとりひとりの感情描写が丁寧!
第一章に登場する七子をはじめ、短編集ながらそれぞれの登場人物が抱える「負」の感情が丁寧に書かれています。
それは「卑下」であったり「嫉妬」であったり「虚栄」であったり…。

あなたも「この人、私と似てるかも」と感じる登場人物がいるはず!
そんな彼らの「負」の部分が、糖花のケーキと語部のストーリーで優しく溶けていく様子をぜひ体感してみてください。
③すぐ買いに行きたくなる!美味しそうなケーキたち!
まさしく”味覚に訴える小説”
読み終えると、すぐに近所のケーキ屋さんに言っておすすめを買ってみたくなりました。
挿絵がないので文字から想像するしかありませんが、頭のなかは美味しそうな輝くケーキでいっぱい!
- ウィークエンド・シトロン
- シャルロット
- クイニーアマン
- ミゼラブル
- バニラキプフェル…などなど!
誰かと一緒にケーキを楽しみたい!
そんな甘い気持ちになれる一冊です。
とろすけの好きなシーンはここ(ネタバレなし)

全部!と言いたいところですが、1つ選ぶなら語部と糖花が初めて出会ったシーンを挙げたいと思います。
お互いに大好きなことを仕事にしていたはずなのに、いつの間にか続けることが苦悩になってしまっていた2人の出会い。
語ることに”迷い”を感じていた語部が、糖花のお菓子のおかげでもう一度、ストーリーを紡ぐ喜びに気づいた瞬間「好きなことを仕事にできるって本当に幸せなんだろうな」と私もうれしくなりました。

続きはぜひ読んで確かめてみてください。
読後評:とろすけの感想
1章が50ページほどの短編集のため、ちょっとしたスキマ時間にサクッと読めてしまうのが良いですね。
短編ですが内容が薄いことは決してなく、登場人物それぞれに宿るストーリーがしっかりフォーカスされているので満足度は高いですよ。
反対にこんな読者さんには合わないかもしれません。
- 怨念とか復讐とかドロドロしたミステリーやホラーが好き
- 悪両成敗の大逆転ストーリーでスカッとしたい(半沢直樹みたいな)
- 手に汗握る熱い展開を読みたい
もう一つ。
第3章のキーパーソン・令二くんに不快感を感じてしまう人は多いはず(私もそうでした)
こいつが出てくるなら続きはちょっと…
なんて思われる読者さんもいるかもしれませんが、安心してください。
続編ではちゃんと活躍してくれますから…。(しかも、ちょっとカッコいいですよ)

続きは読んでみてのお楽しみ!
心もほっこりする優しい物語をどうぞ!
コメント