(書評)『成瀬は天下を取りにいく』こんな青春を過ごしたい!滋賀県民必読の最強ローカル小説!

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最強の主人公・成瀬あかりの活躍がまぶしい『成瀬は天下を取りにいく』

  • わたしの趣味に合っているかな?
  • 興味があるけど買って後悔しないかな?
  • 読み始める前に少し詳細を知りたい!

そんな疑問に応えるため、サラリーマン読書家の私が書評をまとめてみました。

ネタバレしない範囲でまとめているので安心してください。

この本をひとことで表すと、
・周りを気にして”自分”が出せない若者に贈りたい!
・自由に生きることが誇らしくなる一冊。

読んでみようかな…なんて悩んでいる人はぜひご参考に!

要するにどんなお話?

2024年本屋大賞受賞作。

  • 周りの空気を読んで本心を語れない…。
  • もっと”自分”を出せないものか?

そんな悩みを持ったすべての人へ…そこに成瀬がいる!

圧倒的なキャラクターに振り回されつつも、なぜか不愉快じゃない。むしろその挑戦を羨ましく思える不思議な少女の物語。

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あらすじ(ネタバレなし)

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営業当時の西武大津店

島崎、私はこの夏を西武に捧げようと思う。

2020年8月31日をもって44年の歴史に幕を閉じることになった西武大津店。
閉店を惜しむニュースの中継には、いつも西武ライオンズのユニフォームを着た成瀬あかりが映りこんでいた。

滋賀県を愛する成瀬を中心に、漫才コンビの相方・島崎や、高校でクラスメートになってしまった地味系女子・大貫らの視点からストーリーは加速する。

本人はいたって自然体ながら、予測不能すぎる成瀬の勢いはとどまることを知らない。

  • 中学最後の夏休みを西武に捧げ、
  • M-1グランプリに挑戦し、
  • 高校入学と同時にまさかの実験を始め…。

「行動するな」が暗黙の了解だったコロナ禍にあって、必死に「何か」を残そうと奮闘する少女たち。

きっと大人になった私たちも心打たれるものがあるはず!

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厳選3ポイント!『成瀬は天下を取りにいく』はここがいい!

ここからは、私(とろすけ)が『成瀬は天下を取りにいく』を読んで感じたこの本はここがいい!ポイントを「3選」紹介していきます!

①何をおいても成瀬のキャラが立ちすぎ!まさしく最強の主人公。

何を差し置いても主人公・成瀬あかりの個性が強烈に光っています!

周りを振り回してしまうことも多いですが、なぜか嫌な感じはしません。

むしろその行く末を見ていたいと感じる行動力は、読者を”成瀬ファン”にするレベル。

次はどんな”我が道を行く”のか!?ぜひお楽しみに!

②実在の施設名がリアリティをアップ!

西武大津、膳所高校、びわこ市民ホール…
架空の地名を使わず、あえて実在する地名や施設名を押し出すことで物語の”リアリティ”をぐっと押し上げてきます。

現実とフィクションの織り交ぜが上手ですね!

西武大津店には行ったこともない私ですが、リアルな地名と描写があるからこそ、懐かしの場所が消えゆく”さみしさ”をしっかり感じることができました。

③40代以上でも楽しめる!いつかの暖かな思い出を想起できるスピンオフ

第3章「階段は走らない」もわたしのお気に入りエピソードのひとつ。

作中で唯一、成瀬や島崎とは違った大人の目線で物語が進みます。

40歳超えた大人だって、それぞれの記憶のなかの思い出の場所(=西武大津店)を回想する場面に共感できる読者も多いはず。

誰にも存在する”あの頃”の懐かしい思い出と、好きだった場所がなくなっていく寂しさを静かに描いたシーン。

きっと”悲しいけれど暖かい”気持ちになれますよ。

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とろすけの好きなシーンはここ(ネタバレなし)

遊覧船「ミシガン」のスカイデッキ 成瀬と西浦がいるかも!
琵琶湖汽船ウェブサイトより

マイナーな場面かもしれませんが、第5章「レッツゴーミシガン」から遊覧船ミシガンに成瀬と西浦(と中橋)が乗り込むシーンですね。

成瀬という人物の考え方や行動がよくわかる場面だなと思います。

成瀬がライオンズのユニフォームや学校の制服でなく、私服でいるシーンも珍しいよね!?

私の印象ですが、島崎以外で成瀬のキャラクターを敬意をもって受け入れたのって西浦が初めてじゃないかな?

まぁ、どんなに恥ずかしくても琵琶湖に飛び込むのは良くないよww(気持ちは分からんでもない)。
思いっきり吹かせていただきました!

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読後評:とろすけの感想

2024年の本屋大賞で下馬評を覆して大賞に輝いた同作。

最近の本屋大賞は、戦争やDV・育児放棄に毒親など社会性の強いテーマを扱った小説を選ぶことが多かったように思います。
そんななか『成瀬は天下を取りにいく』はこれまでとはテイストが異なる”爽やか系”小説

SNS全盛の現代にあって、叩かれないように首をすっこめて生きる私たちの懸念を「完全無視」して、我が道を全力疾走する成瀬が最高にかっこいい!

どうか年を取っても成瀬は成瀬のままでいてほしい!

そんな淡い期待を持っていたら、宮島未奈さんが続編で見事に応えてくれました。

続編『成瀬は信じた道をいく』もぜひお楽しみください!

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とろすけ

月に10冊以上の小説を読む読書家サラリーマン。

本業は製造業のITエンジニア。

好きな作家は辻村深月と恩田陸。

おすすめは
『かがみの孤城』
『琥珀の夏』
『蜜蜂と遠雷』
『君の膵臓をたべたい』など。

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